鷲羽岳・水晶岳・野口五郎岳・烏帽子岳縦走記
(その2 野口五郎岳・烏帽子岳)

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2013年8月3日 水晶小屋-野口五郎岳-烏帽子小屋-烏帽子岳-烏帽子小屋(泊)

 「きれいだな」という声で目を覚ます。 小屋の窓から、きれいな朝焼けが見える。 急いでカメラを手に外に出る。 日の出を前に雲が赤く染まっていて、野口五郎岳方面が特にきれいである。 周りの山々が赤く染まり、富士山もきれいなシルエットで姿を見せている。 水晶小屋に泊まってよかったと思わせる朝を迎えた。

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  今日もまずまずの天気。 今日からは、気ままな一人旅。 昨日とはまた違った気分で水晶小屋を後にする。 まずは、かなり高度を下げ、岩、イワした道のりを進む。 後にした水晶小屋はもちろん、周りの山々が高い目線の位置に変わってきた頃、このコース一番高度の低い東沢乗越にでる(水晶小屋から約40分)。 ここで遭難した人を弔っているのであろうお地蔵さんが佇んでいる。

 野口五郎岳は遠くから見ると、平たくて雄大な山容をしているので、ルンルン気分で歩ける縦走路というイメージがあるが、実際はさにあらず。 ゴロゴロ岩と石のピークやスポットを頻繁に越さねばならず、気の抜けない縦走路である。 とはいっても、やはり起伏の高低差が小さいので、比較的楽といえば楽である。 今日のこのコースは人が少なく、歩き始めてすぐに若いペアーに追いぬかれた以外は、烏帽子小屋まで追いぬくことも、追い抜かれることもなく、孤独な一人旅であった。 もちろんすれ違ったパーティーはあったが、夏最盛期にしては極めて少ない数であった。 ということで、普通に歩いて、竹村新道分岐までが1時間50分、野口五郎岳までが2時間30分でほとんどコースタイム通りであった。
 野口五郎小屋は、砂山に守られているかのようであったが、強い風に立ち向かう姿勢をとっているかのように建っていた。 ここもまた登山者の賑いもなく、ガランとした感じであったが、しばしの憩いを取らせてもらった。  ここまで来れば後は楽ちん、烏帽子小屋まで下るだけである。 ただし、2792mピークはお花畑コースという巻き道があるのに、自然に岩稜コースに入ってしまい、結構きついアルバイトを強いられた。  烏帽子小屋に近づくに連れ、烏帽子岳が上から見下ろせるようになるのだが、上から見ると、あの写真で見るような姿ではなく、単なる岩の塊のように見える。 しかし、高度が下がるに連れ、あの、オベリスクのような姿に見えてくる。 この頃になると、バックの立山連峰の上部に雲がかかり、ちょっとがっかり。 しかし、コマクサの群落が目を楽しませてくれる。  最後の烏帽子小屋への登りをあえいでこなし、野口五郎小屋から2時間30分、11時30分の到着であった。 烏帽子小屋の前には、イワギキョウの群落と、白いコマクサを含むコマクサが咲き誇っていた。
 烏帽子小屋で宿泊の手続きと、昼食を済ませ、烏帽子岳のピストンに向かう。 久しぶりに樹林帯の中を歩くと癒やされる感じがする。 すぐに樹林帯を抜けゆるやかな傾斜を15分ほど登ると、前烏帽子岳に到着。 ここからの烏帽子岳が素晴らしい。 帰りはここでしばし座り込んで、烏帽子岳の景観に浸った。

 烏帽子岳への分岐からは、ピークの裏側の急傾斜をグングン登る。 最後に、ちょっと足場を取りにくい3箇所の鎖場を登ると、てっぺんに到着する。 覗き窓のような隙間に登り切ると、山々が見渡せるが、足元が震えるよな感覚があり、急いで降りる。 こんな高いところにシャクナゲが。
 烏帽子小屋は宿泊者が少なく、12枚の布団の部屋に、5人。 ゆっくりくつろぐ。 水晶小屋で懇意になった埼玉からの3人組や、高山植物保護のパトロール員のお二人などと歓談したり、夕食時には、船窪から縦走してきた人たちに様子を聞いたりして楽しく過ごした。

2013年8月4日 烏帽子小屋-高瀬ダム

 朝、霧雨。 かろうじて雲間に上がるお日様の明かりを撮る。 今回買い求めて携えてきた防水カメラがはじめて役に立つことにった。 5時40分、いよいよ高瀬ダムへの急降下を開始する。 名うての急登。 降りるのも楽ではない。 足元はそれほど悪くはないが、濡れて腐りかかった木製の階段や木道が滑りやすく注意を要する。 とにかく下る、下る。

 途中女性二人組がすっと追い抜いていったので、何とかこれに食らいついて30分ぐらいついて降りたのが間違いの元、無理を強いられた脚が最後は悲鳴を上げる事になった。 特にももが段差を降りるごとに体を支えるのが難しい状態になった。 途中追い抜いた大阪からの女性3人組にも抜かれ、座り込みたくなるのをやっとこらえてダム手前の砂地に着いた時は本当にホッとした。 烏帽子小屋から2時間20分の大下りであった。

 ゆっくり歩いて高瀬ダムに到着したのが、更に30分後。 烏帽子小屋からトータル2時間50分。 コースタイムが4時間になっていたから、ちょっと頑張りすぎたか。
 高瀬ダムからは、大阪からの女性3人組と一緒に、大町温泉薬師の湯までタクシーに相乗りし、さっぱりした後、大町駅から、名古屋方面が不通となっていたので、糸魚川経由で広島に帰還した。  今回は好天気に恵まれ、アルプスの中心を走る動脈ともいうべき路を歩くことができた。 周りの山々が素晴らしくよく見えて、撮った写真がトータル600枚を超えた。 ご一緒したお二人には途中脱落というご迷惑を掛けたが、お二人にも楽しく印象に残る山旅であったと思う。  苦しく、身体が悲鳴を上げる様な山旅であったが、それでこそ経験できる喜びというものを今回も感じた4日間であった。

<前編:その1> 山行記: 「鷲羽岳・水晶岳」についてはこちらを御覧ください。

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