白馬岳・雪倉岳・朝日岳縦走記
(その2 雪倉岳−朝日岳縦走編)
HOME

2012年7月25日 白馬山荘−雪倉岳−朝日岳(朝日小屋泊)

 朝の5時25分、ガスで包まれた白馬山荘を出発する。 朝一のアルバイトとして、結構きつい白馬岳への登りが25分。 到着した山頂でもガスの中であった。 この日の天気予報は、くもりで午後3時頃、雨がぱらつき雷の恐れありとのこと。 天気予報の晴れマークが一日一日後にずれ込んでいる感じである。

 ところが、三国境に下りてみると、ガスが晴れ、行く手の鉢ヶ岳がはっきり姿を見せている。 ここから、強く吹き上げてくる風と闘いながらの長い長い下りが始まる。  持病の右膝痛との戦いでもあるが、これにはもう慣れっこである。 あの鉢ヶ岳を越えるのかなと思って近づくと、なんと右に巻いて行く道があるではないか。 やれやれ。 この巻き道には、トータル4つの雪渓がありトラバースを余儀なくされるが、ゆっくり落ち着いてこれらを乗り切る。
 引き続き、雪倉岳をめがけてぐんぐん高度を下げると、やがて避難小屋に出る。 ここに到着する頃(8時)に雨がぱらついてきたのと、相変わらず風が強く吹き付けるので、小屋に入ってカッパの上着を身につける。 しかし、このあと雨はすぐ上がり、天候が崩れることはなかった。


 写真クリックで、その写真がフルスクリーンで拡大されます。 本ページに戻るには、拡大写真か右上ボタンをクリックして下さい。

 避難小屋から雪倉岳への登りは、かなり急な直登である。 しかし足場はガレ場であるが比較的歩きやすく、持続可能なエネルギーと酸素の補給を考慮したステップでゆっくり登る。 しかし、この辺から右腰が痛み出し、我慢すれば登るのには支障はないがやはり気になる。 と、言っているうちに40分の登りが終わり頂上に立つ(9時)。 頂上はすごい風が吹いていたが、新潟県側に回ったところが風がなく、ここでゆっくりする。 昨夕、山荘前で交流した新潟県から来た男女3人組が先着していたので、再び交流を果たすことができた。 右下遠くに小屋が見える。 あとで考えれば、蓮華温泉ロッジだった。

 雪倉岳からはガレ場の下りが延々と続き、朝日岳、赤男山がどんどん近づいてくる。 やがて、下り切ったツバメ平に到着する(11時)が、ここは通過して、ツバメ岩と名付けられた感じのいいところに出たので、ここで昼食とする。 地元から来たという私達と同年輩の女性があとから合流し、一緒に食事をとる。 会話も弾んだが、ゆっくりしている私達をおいて、足軽に先行して出発していった。 元気である。

 赤男山の巻き道で水芭蕉などを愛でながら進み、水平道の分岐まではやや疲れ気味ながら無事であった。 水平道は通行禁止ですという看板を恨めしくも眺め過ごし、いよいよ朝日岳の登りにとりかかる。 ところが、予想以上に急であり、悪路であり、樹林帯の中なので暗い。 特に最初の30分間は、木の根っこや岩の段差が大きく、しかもぬるぬるでリズムよく歩をすすめることができない。 なんでこんな苦労をするためにこんな所にまで来たんだと、苦しい時にいつも思う思いでいっぱいになる。 相変わらずの腰の痛さもあり、何度も立ち休憩をしながらも、最後は開き直り、なけなしのエネルギーを出して登り続けなんとか頂上にたどり着く。 水平道の分岐から1時間35分、2時15分の到着であった。
 頂上はガスの中で、風も少しあり居心地は良くなかったが、妙に立ち去りがたく、後着の栂池で知り合った東京4人衆やいろいろな人と談笑して過ごした。

 朝日岳を下り、今夜のお宿朝日小屋に到着したのは、確か15時30分頃である(疲れていて記録・記憶が無い)。 長い、タフな行程でたどり着いた僻地(?)の小屋は、意外にも満杯状態で、人気の高さがうかがえた。 女性管理人の心配りが、小屋全体に行き届いていて、設備は旧式であるが、心地良い一晩を過ごすことができた。
 夕食までのひとときを、小屋前のベンチで、例の東京4人衆とビール片手に楽しく過ごすことができた。 天気も良くなり、今日出発した白馬岳がよく見える。 あんな遠くから歩いてきたなんて、信じられない気持ちである。 雪倉岳は予想以上に大きく、堂々として見えた。 くたびれたけど、今日もいい山行であった。

2012年7月26日 朝日小屋−朝日岳−蓮華温泉(ロッジ泊)

 快晴の朝、5時40分、朝日小屋を出発。 昨日苦しめられた朝日岳への登りが本日最初のアルバイトである。 朝一ということもあり、道も登りやすく、順調に頂上に立つ(6時40分)。 快晴なのですこぶる眺望が良く、立ち去るのがもったいない気分である。 立山連峰や白馬岳連峰もさることながら、雲間に浮かぶ逆光の新潟県側の山並みを何とか写真に収めようと、何度も何度もシャッターを切る。

 朝日岳を吹上のコルまで下り切ると、いよいよ五輪尾根沿いの長い長い下りが始まる。 途中、八兵衛平で水彩画を描く若い女性と交流したり、樹間の山々を眺めたり、周囲の花々を愛でたり(桜も咲いていた)、流れ来る小渓流で喉を潤したりと下りを続けていると、眼下に綺麗な湿原が(花園三角点の上部)。 その美しさに見とれながら下って行くと、東京4人衆が昼食パーティーの真っ最中。 我々も合流し、軽い中間食を取る。 山あいに広がる湿原と、大きく迫るように見える雪倉岳。 素晴らしい。 しばしここでゆっくりする。

 美しい湿原を楽しんだあとの、カモシカ坂の下りはとてもハードなものであった。 結構急な勾配の下りをただひたすら下る。 渓流の音が早く近づかないかと思い思い下るが、一向に下りは終わらない。 そして、やっと、大きな鉄橋が目に飛び込み、白高地沢に到着。 側流の細い渓流で顔を洗い、喉を潤す。 ここで、昼食休憩を取る。

 白高地沢からは登ったり下ったりの道を進み、瀬戸川の渓流に出る。 ここにも小さいが立派な鉄橋がかかっている。 この橋を渡ると、兵馬の平までの上りが始まる。 昨日の朝日岳の登りに匹敵する急登である。 何も考えまい、ただひたすら登るのだ。 と、自らに言い聞かせて登る。 登り切ると、静寂に包まれた兵馬の平である。 ホット一息をつく。
 兵馬の平からも、傾斜は緩やかになるが登りが続き、やっとキャンプ場に登り切ったときは本当にホッとした。

 ゆるやかな車道を歩み、蓮華温泉ロッジに到着すると、先着した東京4人衆のお一人が、風呂あがりのさっぱりした顔で、ビール片手ににこやかに迎えてくれた。 あ〜〜、早く我々も。 到着は15時30分。 約10時間の長旅であった。

 夕食後、夜の山道を5分ほど歩き、黄金の湯という露天風呂を訪れた。 二人だけで、夜空を見上げながら、静寂に包まれた野趣あふれる露天風呂に浸かり、至福の時を過ごした。 ハードな3日間であったが、その苦しんだ思い出が温泉に溶け込んで行くようで、楽しい思い出だけが残ってくれと願って、この山旅を締めくくったのであった。

<続編:その2> 

 一日目の栂池−白馬岳については、こちらをご覧ください。

 写真を一括してご覧になりたい方は、 こちら をどうぞご利用ください。

 ウインドウズ デスクトップの壁紙(テーマ、Windows Desktop Theme) 用写真は こちらから ダウンロードできます。

 このページの写真を含めて、山々の写真をアルバムにしています。 こちらをどうぞ



  山の道具のお買い物には 「山屋」 をよろしく。  
HOME