残雪の穂高連峰と槍ヶ岳を望む絶好のスポット蝶ヶ岳に登りたいという思いがかねてからあったが、ここ暫く晴天が続くという天気予報を見て、いてもたってもいられなくなり、今回の山行となった。
蝶ヶ岳は、学生の頃、やはり残雪の時期に3人の仲間と日帰りで横尾から登り、徳沢に下山したことがあった。雪が結構残っている時期で、ひたすら登りつめて、稜線を望める場所に出た時、ハイマツと雪と雪の溶けた稜線が織りなす美しさに思わず歓声を上げたのを覚えている。残念ながら、槍・穂高は雲の中で見えなかったが、蝶ヶ岳の頂上で即席のアルペン踊りをして満足感を味わった。
その当時の蝶ヶ岳には小さな無人小屋があるだけであったので、早速徳沢に降りかけたのだが、雪道にトレースを見失い、間違った沢を降りかけた。先頭の私が首まで雪の中に埋まってしまい、稜線に戻ったのだが、その時の辛さ(エラさ)は今でも忘れる事ができない。さらに、次に降りた沢は明るく雪もしまっていてよさそうであったが、これも間違っているらしいという不安にかられながらの下山であった。しかし、もう戻る気力もなく、方向はいいはずだとしてそのまま降り続けた。すると、間もなく、下から登ってくる登山者を発見。正規のルートに合流したのだ。その時のうれしさというより、ホッとした気持ちはどう表現したらいいかわからないくらいである。同行した仲間と再会すると、今でも当時を振り返り、苦い思い出をビールとともにそっと飲み込むのである。
今回の登山は、徳沢ロッジに泊まり、長塀山経由で蝶ヶ岳へ登り、横尾へ下るというコースである。情報によると、このコースは迷いやすく、中には、ルートを外して滑落した人もいたとか。それを承知で登ったのだが、私も途中で迷ってしまい、雪の樹林帯に方向を失って立ち尽くすという経験をしながらも、辛くて長い道のりをこなしてヒュッテにたどり着いた顛末は、このあとで。
しかし、蝶ヶ岳からは、御嶽山、乗鞍岳、焼岳、穂高連峰、大キレット、槍ヶ岳、大天井岳、常念岳と続く大絵巻が眺められ、大満足の山行となった。
広島から快晴の上高地に入ったのが午後の2時頃であった。途中バスの窓から見上げる近くの山は、新緑の木々に覆われ実に美しいものであった。そして、バスターミナルから歩を進めると、いつもの穂高連峰が豊富な雪に覆われて佇んでいる。雲ひとつない青い空に、豊富に雪をいだいた峰々がぐっと迫ってくる。感動モノである。
写真クリックで、その写真が拡大され順送りができます。 本ページに戻るには、右上Xボタンか写真の外をクリックして下さい。梓川に沿って、今晩の宿、徳沢ロッジに歩を進めると、新緑の木々、そしてその向こうにそびえる明神岳などの山々。清々しくて、一番気持ちのよい季節かもしれない。道の両側にはびっしりとニリンソウが咲き誇っているし、その他の花も競うかのように咲いている。
徳沢ロッジのこの日の宿泊は、高年のご夫婦と私の3人であった。8人用の2段ベットの部屋を一人で独占したのは初めてのことである。この日は、運の良いことに、夕食後、東京・長野で写真教室をされている、櫻井信夫先生が写真教室を開いてくださった。ご自分の作品による主に写真を撮る心構えともいうべきことをご指導いただいたあと、ご夫婦と私の、当日上高地で撮った写真を題材に、いろいろご指摘いただいた。このような経験は初めてであったので、バカチョン撮影主体の私にはとても参考になった。先生のホームページ「風の色と花の色」は美しい写真満載で、ぜひ訪れることをおすすめします。
翌朝も快晴。朝食前に外に出て、朝焼けの明神岳などにカメラを向けた。先生もおられ、お話を伺いながらの撮影になったが、いかんせん、昨晩のご指導はまだ咀嚼されておらず、いつもながらの出来栄えとなったが、私としては新しい感覚で撮れたものもあったような気がする。
<続編:その2> 山行記: 蝶ヶ岳登山(徳沢ー蝶ヶ岳-ヒュッテ泊-横尾)についてはこちらを御覧ください。
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