五色が原経由薬師岳登頂記

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 梅雨明け早々の北アルプス、室堂-五色が原-薬師岳-太郎平-折立と言うコースを縦走し、薬師岳を登頂した。今回は、赤帽さんこと帆足さんの百名山・99座目の登頂と言うことで、光・周南ハイキングクラブの山行に参加させていただいた。メンバーは、女性9名に、原田会長、帆足さんと私の12名で、内、女性3名と帆足さんと私の5名が、五色が原経由で登り、残りのメンバーは太郎平から黒部五郎岳をこなした後、薬師岳に登り、双方が薬師岳山頂で合流するという楽しい趣向の計画であった。
 初日・二日は好天気に恵まれ、三日目も薬師岳山頂まではまずまずの天気で、無事山頂でメンバー全員が感激の合流を果たした。

2016年7月23日 室堂平-一の越-五色が原

 室堂平は、梅雨明け好天の土曜日と言うこともあり大賑わいで、バスターミナル前の広場は登山客でうめつくされていた。登山路でも、登山客が数珠つなぎ状態となり一の越を目指していた。我々5人も立派な遊歩道を歩き始める。(出発9:00) 慣らし運転程度の軽い登りのつもりで登るが、暑いこともあってすぐに汗がにじみ出る。
 同行の女性3名は、とっくに百名山登頂を達成していて、ベテラン・健脚のキュートな人たちである。彼女らは、帆足さんと私のロートル二人組に終始気を使ってくれてリードしてくれるが、いかんせん歩く速度が違うので、自然に彼女らが先行し、要所要所で待ち受ける彼女らを、二人が追う形の縦走となった。
 登山路からは、行く手に大きくそびえる雄山・立山連峰はもちろん、右手に浄土山、左手に大日岳・剣岳らが望まれ、贅沢な出だしとなった。行列とともに到着した一の越は大勢の人であふれていた。そして見上げれば、大勢の人の列が雄山に登る急斜面にとりついていた。

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 我々はここから進路を雄山と逆側に取り、五色が原方面に進む。最初は、富山大の研究施設のあるピークへの登りである。まだそれほど疲れていないので、順調にステップを刻む。それ程蒸し暑さはないが、暑いに変わりはない。振り返れば、雄山に登る人の連なりが見え、見るからに大変そうである。
 行く手には、竜王岳の荒々しい山容が迫ってくる。なだらかなピークに到着しここで一服である。

 ここからいよいよ、竜王岳、鬼岳、獅子岳を超える縦走路に入る。竜王岳、鬼岳はピークを巻いて進むが、結構ごつごつした岩場もあって、それ程楽ではない。しかし、荒々しい道の両側に拡がるお花畑が素晴らしく、癒される。確かにここら辺までは、縦走の楽しさを存分に味わっていたかもしれない。
 やがて、獅子岳が目前に迫り、本日初のピークの登りに取り掛かる。ところがこれが結構きつい。必死で呼吸を整えながら登ろうとするが、どうも今日はうまくいかない。ああ、神が我に試練をお与え下さっているのだ。この試練を乗り越えなければ我が山人生は終わりを告げるのだ。神よ我を助けたまえ。
 神様のお助けもあって、やがて極めた獅子岳の山頂では、メンバーとともに飛び切りの笑顔で記念写真に納まった。
 獅子岳山頂はガスに巻かれていて眺望はなかったが、達成感を爆発させたあと、いよいよ五色が原に向かう。ところが、下れば平らな原っぱが広がっているというわけではなかった。ザラ峠までの急激で長い下りと、150mに及ぶ登り返しが待っていたのである。  獅子岳を過ぎてしばらくは、お花を愛でながらの楽しい道であったが、ザラ峠への下りに差し掛かると、急な上に、小砂利が敷き詰められたような岩場は滑りやすく、神経をすり減らしての下りとなった。しかも長い。降りても降りても着地点ははるか下である。若いころは下りを得意としていて、岩から岩へと身軽に飛び移って下ったものだが、今では、何かあったら大変だという思いが大きくなり、慎重に慎重に下ることになる。  身も心も疲れ切って到達したザラ峠からの五色が原の登り返しも楽ではなかったが、本日最後の登りとあって、何とかこなすと、花畑の拡がった気持ちの良い原っぱが待っていた。何度かライチョウにも挨拶して山荘に到着すると、先行していた女性陣のうちのリーダー格のKさんが、山荘の前で笑顔で迎えてくれた。(到着15:30)  
 ありがたいことに、この山荘では男女代わりばんこにお風呂に入れた。さっぱりした後の夕食までの長い時間は、ビール片手に談笑して過ごし、明日に備えての休養にあてた。
 
 

2016年7月24日 五色が原-越中沢岳-スゴ乗越小屋

 朝起きると、すこぶる天気が良く、朝焼けに輝く峰々が見渡せ、素晴らしい。北には、獅子岳・竜王岳と鬼岳に挟まれた雄山。東には、針ノ木から野口五郎への稜線、稜線の向こうに槍の穂先。東南には赤牛岳の大きな姿。なんと素晴らしいことか。
 5時30分、好天に恵まれた五色が原山荘を出発。スゴ乗越小屋を目指す。まず目に飛び込んでくるのが鳶山の変わった姿である。この山前後は比較的緩やかな登り下りで、五色が原や周りの山々の眺望がすばらしい。そして、後ろに剣の雄姿、ピークを越えて前方に薬師の雄大な姿が見え始めると、本日のクライマックスと言うべき幸せな山歩きとなる。
 次なる目標は越中沢岳。常に前方には最終目標の薬師の偉大な姿が見え、それがだんだん近づいてくる。なんとも幸せな山行である。ところが、越中沢岳の登りが普通につらい。登りは辛いものと決まっているのだから、とにかく一歩一歩登るしかないのだ。しかし、登るにつれ山並みの眺望に変化があるのが楽しみで、疲れをいやしてくれる。何度も何度も、鳶山の異様な山容、五色が原、その向こうの通過してきた山並みと雄山、剣岳を振り返る。そして徐々に顔を出す後立山の山並み。ただただ素晴らしい。  
 越中沢岳山頂で、メンバーと喜びを分かち合い、迫りくる薬師の雄姿に感動し、赤牛、水晶、槍、穂高、笠岳、雲の平、黒部五郎などの山並みを愛でた後、スゴ乗越への下りに取り掛かる。やがて急な下りが始まると、段差の大きな岩場の下りが連続し、心身とも消耗が非常に激しいように感じる。下っても下ってもまだ下る。約300m下ってやっと平たんなところにたどり着きほっとしていると、次にスゴの頭という100m強のこぶを越えなければならない。これには参った。
 やっとの思いでスゴの頭を超えると、さらなる300mの急降下が待っていた。しかも向こうに見えるスゴ小屋は、乗越からさらに相当登り返さなければならないのを知る。それでもとにかく、慎重にも慎重を期して下る。
 スゴ乗越では、とっくに先着した女性3人組が、ケロッとして待っててくれた。そして、先に進みたい気持ち抑えて、仰向けにひっくり返って休憩をとっている男性二人が起き上がるのを待っていてくれたのである。
 乗越から小屋までの、約200mの登り返しが辛かったのは言うまでもない。ようやくたどり着くと(13:15着)、女性陣が小屋の前のテーブルでビール片手ににこやかに迎えてくれた。手渡されたビールを飲み、やっとたどり着いた安ど感に浸った。ここを通過して薬師を超える人もたくさんいたようだが、今の私には想像もつかない。
 赤帽さんとKさんが小屋前のテーブル席で焼酎を酌み交わし談笑しているのには付き合わず、私は小屋に入り、バタンキューで昼寝休憩。この日、この後、小屋でゆっくりできたのが救いであった。昼寝後、食堂でコーヒーを飲んでいると、先ほどネパール音楽を奏でていた二人を含め、小屋の人たちが休憩で集まり何やらおいしそうなものを食べ始めた。「おいしそうだね」と声をかけると、「どうぞ」と言ってプリンをおすそ分けしてくれた。このラッキーな一幕は、同行のメンバーには内緒である。  

2016年7月25日 スゴ乗越小屋-北薬師岳-薬師岳-太郎平-折立

 朝4時10分、小屋を後にする。今日は、薬師岳山頂で太郎平から登頂してくるメンバーと合流することになっているし、折立までの長丁場である。まずは間山までの300mの登りをこなし、次いで北薬師までの300m、そして薬師岳へ。やっとここにきて、まずまずの調子が出てきて、赤帽さんとの距離も考慮して、それ程つらい思いをせずに、記念の写真を撮ることができるようになってきた。間山を過ぎ、北薬師が近づいてくると、岩場が頻繁に現れるようになり、山容も荒々しさが増してくる。こちらから登る薬師岳の姿は、太郎平から登るときに比べると、ものすごく荒々しくて素晴らしい。槍や穂高など、近づいてくる山並みの展望も素晴らしい。
 北薬師岳の山頂で、5人で記念写真を撮ったあと、薬師岳への岩場が連続する痩せ尾根に入る。ここから、女性3人組は、身軽に岩場をこなし、どんどん先に進む。彼女らには、山頂に向こうから登ってくるメンバーよりも先着し、手を振って迎えたいという思いもあるようだ。とにかくあっという間に姿を消し、我々二人が最後の登りに取り掛かる前に、頂上付近から振り返り手を振っていた。そして、無事願い通り先着し、向こうからのメンバーを迎えたとのことであった。
 我々が最後の登りに必死で取り掛かっているころ、向こうのメンバーも到着し、頂上手前で待ち受けてくれていて、赤帽さんと私が到着するや全員で祝福してくれた(到着:9:25)。もちろん、赤帽さんの99座目登頂への祝福、祝福で盛り上がる。



薬師岳山頂から太郎平に下り、メンバーの皆さんとラーメンを食べ、長い長い道のりを折立まで下った。三角点からの樹林帯の下りに差し掛かると、本格的に雨が降り始め、一時土砂降りとなった雨で道が渓流と化したところを大変な思いをして下った。しかし、思えば最後の山下りで雨に遭遇したのはラッキーで、山の上では天気に恵まれ、楽しい山旅となった。
折立からは、原田会長の運転のバスで金沢の巨大な温泉施設に。温泉、乾杯、ぐっすりで、楽しかった山行を締めくくった。

今回も、原田会長以下、ハイキングクラブのメンバーの皆さんには大変お世話になりました。特に、3人の同行の女性にはお世話になったうえ、足を引っ張ったり、わがままを言ったりしたと思いますが、ご容赦ください。あなたたちは本当に健脚で気持ちの良い方々でした。お酒も強かったし。 赤帽さんこと帆足さん。99座目本当におめでとうございました。同行した私が、少しでも力になれたのなら幸いです。次の百座目、頑張れ!


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