アケボノツツジ咲く祖母山

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 昨年はいろんな事情で思うように山行が出来なかったが、、その分今年は始動を早めることになり、広島のひろでん中国新聞旅行の登山ツアー「アケボノツツジ咲く祖母山」という山行に参加した。 団体ツアーでの登山は2度目になるが、前回の妙高山ツアーの手軽さと楽しさに味を占めて、今回の参加となった。 広島から、バスで山陽、九州、大分自動車道を経て祖母山の懐、尾平に入り、翌日登山、帰広島という日程である。

 ツアー参加者は、夫婦連れが2組、いくつかの女性グループに、単独参加の男性5人であり、丁度良い人数の、和気あいあいとした団体であった。 これに添乗員さんの女性と、ベテランガイドの方を加えて総勢17名である。 上級コースということで、参加者はみな自信ありげで、登山前日の夕食時においてもこの登山がかなりタフな登りの連続ということを知りつつも弱音を見せる人は皆無であった。 頼もしくはあったが、一人自分が足を引っ張るようなことにならねば良いがとちょっぴり不安もよぎる。 中に、78歳の女性(広島ではスーパーウーマンとして有名らしい)もいて驚かされる。

2005年4月24日 尾平ー宮原ー頂上ー天狗分岐ー黒金尾根ー尾平

 天気予報では、午後から下り坂ということで、余り期待していなかったのだが、朝起きてみると雲ひとつない空が広がっていた。 今日登る祖母山の山々が壁のように眼前に広がっていて、今日の登山のタフさを改めて認識させられることになった。 5時40分、宿泊したもみ志”や旅館を出発する。

 10分も歩かないうちに渓流を渡るつり橋があり、不安定なので一人ひとり渡る。 渡りきると、そこからはすぐに登りが始まる。 足慣らしの緩やかな傾斜の沢詰めの道もなく、しかも、容赦なく続く急傾斜の始まりである。 

 道は比較的歩きやすい。 ごろごろした岩石の道ではなく、土と木の根っこの入り混じったふみ跡のしっかりした道である。 しかし急である。 ジグザグの度合いも小さくひたすら登る。 一歩一歩の段差が比較的小さく取れるのが救いではある。 隊列はガイドさんを先頭に粛々と進む。 前回の妙高山のときのように道端に咲く花もなく、花談義で進行が止まるようなことはない。 しかも、ペースが僅か速い。 この僅かが結構きつく効いてくるのだが、今回の参加者はタフな人ばかりと見えて、平然と登っていく。 私も快調で息も上がらず、つらさも感じずぐんぐん高度を上げる。 ガイドさんはこの辺のペースを心得ていて、ぐいぐい皆を引っ張るタイプらしい。 そして時々立ち止まって、いろんなことを話しかけたり、説明したりして一時の息継ぎを与えてくれる。 人懐っこい笑顔と話しぶりはみんなの疲れを癒してくれる。

 とは言ってもやはり登りはきついもの。 100mごとに立っている表示板が待ち遠しい。 出発点が600m、稜線の分岐点宮原が1400m、頂上が1756mである。 当面は、宮原の1400mが目標であり、そこからは傾斜がかなり緩やかになるはずである。 しかし、宮原までは高低差800mの一気登りである。 その登りは相当きついが、木々の中の道であり、気温も低いのが救いで、また、下からは見上げるようだった天狗岩がぐんぐん近づいてくるのが実感できるのも救いとなる。 そして、念願のアケボノツツジ。 情報では開花が遅れていて咲いているかどうか危ぶまれたが、山つつじとともに、ところどころで7部咲き程度に開花した姿を見せてくれたのは、みなの大きな喜びとなった。

 標高1200mを超えたところぐらいだったか、78歳のスーパーウーマンが不調を訴え始める。 彼女の名誉のために言っておくが、急な登りに参ったわけではない。 今回初めて身に付けた登山用タイツがフィットせず、それでも我慢して急斜面を登り続けたための不調であった。 このため、宮原の分岐点で他の参加者はしばし待たされることになったが、復調し体調を整えた彼女がガイドさんと一緒に登ってきたのには驚かされた。 しかも、それから後の行程を何の支障もなくやり終えたのだから、彼女のスーパー振りが分かろうというものだ。 われわれ高年登山者の目標というべき存在であるし、力を与えてくれる存在でもある。

 宮原から九合目小屋を経て頂上までは、傾斜がかなりゆるくなったことと、ややペースダウンした進行に、和やかな雰囲気で隊列が進む。 この辺からは、ほとんどの木が芽吹く前の状態で、おかげでところどころの眺望がすこぶるよろしい。 進行方向右には、由布岳、久住連峰が遠望でき、左側には頂上、天狗岩、古祖母山、傾山へ続く山並みが間近に見渡せる。 途中馬の背なるやせ尾根があり、ちょっと緊張させられる場所である。

 立派な九合目小屋(見えにくいが写真の右側に写っている)でしばしの休息をとった後、再び登り始め、頂上を極める。 1200m弱の高度差を登ったご褒美は、360度の眺望であった。
 あれが由布岳、久住、阿蘇、霧島、、、 

下写真の左が頂上から遠望した久住の山並み、右が阿蘇の山並みである。  

 早めの昼食休憩の後、天狗岩方面に向かって下山を開始する。 頂上直下の岩場の急斜面ではちょっとしたスリルを味わうことが出来た。 どうも、通常ルートが別にあったらしいのだが、ロープが張ってあったのを頼りにガイドさんが降り始めた。 みながそれに続き急斜面をそろりそろり降りたのは良かったが、最後の通常ルートに戻るところにある岩はホールドするところが小さく、おまけに3点支持で降りられる状態ではない。 最後は、「この道に飛び降りてください」と言われて、しがみついている岩から滑り落ちるのを気にしながら目標の道めがけて空中に舞うスリルといったらなかった。

 それからはなだらかな起伏はあるがほぼ水平な道が続くが、黒金尾根への分岐からは急斜面の下りとなる。 尋常な急ではない。 このルートは登りに使えばそれほど気にならないかもしれないが、下りだと、真下に向かって下るような感じのする場所も多い(ちょっと大げさか)。 ところどころのはしごやロープ・針金類も頼りないもので、北アルプスなどのように頑丈な鎖ではなく、特にロープ類は申し訳程度についているので、つかむとかえって危ない気さえする。 日帰り登山で軽いザックなのでそれほど怖い感じはないが神経を使う場所である。
 後ははるか下に見える鉱山跡を目掛けてただひたすら下る。 1000mを越える高度差の下りは疲れた足腰を痛めるには十分で、いつもながらの苦行である。 しかし、そこは団体行動のよさで、おしゃべり好きな女性に付き合っているといつの間にか100m、100mと高度を下げていくことが出来る。 登りのときの100mの長さと比べるとなんと早いことか。

 下りでも、ところどころのつつじ類、アセビ、シャクナゲ、ツバキなどが心を和ませてくれたし、振り返る山並みを見ては満足感に浸ることが出来た。 やがて、渓流の音が近づき、新緑の川上渓谷をたどって、まだ余裕残りの(?)登山を終えたのであった。

写真左:新緑の川上渓谷(中央天狗岩)
写真下:振り返る山並み(右から2番目頂上、中央左天狗岩)
   

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