羅臼岳・斜里岳・雌阿寒岳山行記

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 梅雨時の本州を避け、今年のツアー始めは北海道に、と言うことで、アミューズトラベルの表題三山を登るツアーに参加した。 大阪、仙台、広島から精鋭が集い、ガイドさん、添乗員さん(2名)を含め30人ぐらい、女性6、男性4位の比率の大部隊であった。
 ピストン登山+温泉3泊の魅力的な行程ながら、三山いずれも、なかなかきつい山登りであった。 しかし、精鋭全員それをものともせず、賑やかに、ときにはもくもくと、かつ楽しくこなし、充実した大満足のツアーとなった。

2007年7月7日 広島ー女満別ーウトロ

 各地からの精鋭が集合した女満別空港から、バスでウトロに向かう。 今夜の宿は、ウトロ温泉。 メンバー同志の交流が楽しみである。 バスの車窓から、斜里岳が遠望された。 美しい。

斜里岳遠望

2007年7月8日 岩尾別温泉ー羅臼岳往復-斜里町(泊)

 朝4時半、昨夕のバイキング料理で満腹状態のまま眠りについた割には、朝食として用意されたむすび弁当がおいしい。 全部平らげていざ出発である。
 岩尾別温泉から30人の長い列が登りを始める。 天気は曇り。 気温はさほど低くはない。 樹林帯の中をジグザグを交えてぐんぐん高度を上げる。 道は整備されていて極めて登りやすい土道である。 ペースはややゆっくり目で、安定している。 登りやすい。 今度のリーダーは、真面目そうで頼りがいのありそうな方である。 30分ほど登ったところでベストを脱ぎ半袖Tシャツ一枚となる。以後一日中これでちょうどよい状態であった。
 「オホーツク展望台」。 「こっちに晴れていれば見えます」の声に、真っ白な雲がたなびく指さす方向を眺める。 ここまで約一時間。

 「弥三吉水」で休憩。 展望台から一時間弱。 急登が続いたので、流れるきれいな水でのどを潤したいが、キタキツネのなんとやらが体に毒だそうで我慢。 木々の上には、三ツ峰が姿を見せている。 羅臼岳はもっと右の方向のはずである。

 弥三吉水から20分も登ったであろうか、「極楽平」に達し、ひと時の平坦な道を楽しむ。 やがて「仙人坂」に差し掛かると、再びじぐざぐの登りとなり、極楽平入口から一時間強で雪渓の下にたどり着く。 ここで、簡易アイゼンをつけ、ひんやりと心地よい風を受けながら雪渓登りに取りつく。 白馬の大雪渓と比べるともちろん規模は相当小さいが、部分的にはかなり急斜面があり、特に下りは苦労させらるところである。

 

 雪渓を過ぎて、ややピッチを上げたリーダーにあえぎながら急登を続けると、やがて「羅臼平」に出る。 登山開始から、4時間強であった。 見上げる羅臼岳は残念ながら雲に隠れている。 反対側の三峰がかろうじてその全容を見せている。 ハイマツを主とする低木で覆われた、広々とした素晴らしい空間であり、ひと時の休息が楽しめた。
 羅臼平にザックを置くと(かなりの人がザックを背負っていたが)、最後の登りに取り掛かる。 20分ほどの登りで「銀冷水」。 苔むし、小花に覆われた岩から、糸のように水が流れ落ちている。 この水は可飲と言うことで、皆争ってのどを潤す。

 続いて、ゴロゴロ岩の道を詰めると、いよいよ頂上である。 休憩を含めて、登山口から5時間半と言うところであろうか。 狭い岩の上の頂上は先着組を含め、満員状態であり、回りが切り立った崖になっているだけに写真を撮るにも一苦労である。 遠くはガスで何も見えないが、長い登りを制した満足感に浸ることができた。

 羅臼平に降りて、昼食をとったのち、今朝登ってきた道を下ったが、途中で上空が晴れ、知床連山が顔を出した。 硫黄山の秀麗な山容を振り返りながらの下山であった。

2007年7月9日 清岳荘ー旧道コース(沢)ー斜里岳頂上ー新道コース(尾根)ー清岳荘ー阿寒湖温泉(泊)

 清岳荘から樹林帯のジグザグ道を登り始める。 曇り空だが、今日も半そでTシャツで丁度よい。 ところどころ段差があるので、隊列の進行が止まり、そこを過ぎると急いで前に追いつくという状態が続く。 最後部につけている身にはちょっとつらいが、それほどのことはない。 まもなく斜里岳登山の目玉とも言うべき徒渉が始まる。 それほどの危険は感じないが、気の抜けない徒渉地点が次々に現れる。 石伝いに歩を運ぶが、靴を全く濡らさないで済むほど簡単ではない。 しかし、鉄分を多く含む水のせいか、石に苔はなく滑らずに済むのが救いである。 最初の何回かは、勝手の分らない我々のためにリーダーや添乗員さんがいろいろとサポートしてくれる。 徒渉を10数回繰り返したであろうか旧道と新道の分かれ道「下二股」に着く。 ここから上りは旧道の沢道を行く。
 ここから、さらに数多くの徒渉を繰り返すことになるが、脇道も結構歩きにくいところが出てきて岩の伝え歩きもスリリングである。しかし、だんだん余裕が出てきて、普通の登山ではあまり経験できない楽しさを味わいながらの登行となった。

     

 やがて沢登も終わりをつげ、新道と交わる上二股に着く。 登山開始から、3時間から3時間半の間であったと思うが、30人の大部隊の割にはスムースにいったのではなかろうか。
 ここから馬の背までは、ダケカンバ類の低木に覆われた急登に続き、最後はガレ場の急登となる。 ややペースを上げた約40分の連続登りに、最後は喘ぎ気味になるが、みんな元気である。 山と山の中間点の馬の背に登ると斜里岳の頂上が間近に見え、心地よい風がほてった身体をいやしてくれる。
 馬の背から山頂へは30分ほどの結構きつい登りが残っているが、先ほどの急登程のつらさはなく、ひとこぶ超えた登りをこなして広々とした頂上に立った。 今日もガスに囲まれて眺望がきかないが、変化に富んだ登りをこなした満足感でいっぱいである。

  

 頂上からの下りは、熊見峠への尾根筋を行く。 馬の背からかなりの登りがあり、いくつかのこぶ状のピークを越えていく。 ハイマツの中を気持のよい尾根歩きである。 振り返れば、斜里岳がその姿を見せている。

 熊見峠から下二股までは、急で足場の悪い所が続く。 やがて、下二股に出て、余裕の徒渉を繰り返してのご帰還となったが、この沢登と、気持のよい尾根下りとの組み合わさった斜里岳登山は、忘れらることのできないほどの感動を与えてくれた。

2007年7月10日 雌阿寒温泉ー頂上ー雌阿寒温泉ー阿寒湖ー女満別ー広島

 最終日は雌阿寒岳のピストン登山で締めくくりであるが、これまた思い出に残る登山となった。 朝から降り続く小雨に、上下のカッパを身につけての登山開始となった。 最初の樹林帯の中のジグザグ登山では、暑いのに閉口し、最初の小休止では上半身を全部脱いで汗をふかなければならないほどであった。 長そでTシャツ一枚にカッパを付けて登山を再開。 1時間余りで5合目に着く。 ここで休憩。 小雨が相変わらず降っていて、だんだん冷たく感じられるようになってきた。
 5合目から頂上までの1時間余りはノンストップの登りとなった。 何しろ、止まって休憩するという状態ではなかった。 何も見えない雨、霧の中を一本の糸のように隊列が黙々と登る。 皆必至である。 ペースが速い。 山登りがこんなにも苦しいものかを改めて思い知る。 樹林帯を抜けガレ場になると、冷たい小雨が容赦なく吹き付ける。 風も強い。 指先が感覚がなくなるほど冷たい。 やがて火口壁を歩くようになると、右側が切り立った絶壁になっているので、風で体をもっていかれると一巻の終わりである。 体をもっていかれるほどの強い風ではなかったが、ちょっと心配になるほど強い。 さらに、火口からジェット音のような噴火音が不気味に響きわたってくる。 しかし、火口壁での距離が短かったのが大いに救いであった。 やがて着いた山頂では、まだ記念写真を撮れるくらいの余裕はあったが、早々の下山となった。 温度計は3度を示していた。 体感温度はマイナス3度ぐらいであろうとのことであった。
 苦しかった登山を終え、秀麗な雌阿寒岳の姿も全く見ないピストンであったが、それだけに思い出に強く残る登山となった。 女満別空港へのバス内でも、満足感に浸りながらの会話が続いた。 下りてしまえば、苦しかったことなんかどこかへ行ってしまう。
 空港で、大阪、仙台に帰る人たちとお別れになったが、今回も楽しいひと時をともに過ごし人たちに感謝したい。 お二人の添乗員さん、そして、30人を全山の登頂に導いてくれたベテランガイドの今泉さん。 本当にありがとうございました。



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