日光白根山、男体山、那須茶臼岳登頂記

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 ひろでん中国新聞旅行のツアーに表題のツアー企画を見つけた。 山行と温泉旅行のあいの子みたいなツアーではあるが、日ごろのトレーニング不足の私には非常に魅力的である。 申し込みの電話をかけたところ、1名の残り枠ありとのことで、滑り込みの参加となった。 期待にたがわず、温泉づけの後に山に登ると言う貴重な体験をすることが出来た。

 ツアー参加者は、夫婦連れが3組、女性がグループ参加を含めて13人、個人参加の男性が11人、合計30人の大人数に加えて、ガイドさんお二人と添乗員さんの33名のパーティーであった。 今回もベテランぞろいであったが、男性の参加がいつもより多く、しかも個性派ぞろいである。 さらに、祖母山でご一緒した、78歳のスパーウーマン(亀田さん)も参加されていたこともあって、楽しい山行となった。 10月12日、日光湯元の温泉街の宿に入り、翌日からの山行に向けて満を持して温泉とアルコールで親交を深めた。

2005年10月13日 丸沼高原ー白根山ー丸沼高原ー中禅寺湖畔

 丸沼湖畔から、ゴンドラに乗って山頂駅に着くと、正面に白根山の威容が目に飛び込んでくる。 山頂は3つに別れていて予想以上に立派な山容である。 確か曇り勝ちの天気予報であったが、今日は雲ひとつない快晴。 気温も上昇し、申し分ないコンディションにわくわくしながらの登頂開始である。 山頂駅の標高は2000m、山頂まで600m弱の登りである。
 人数が多いため、2班に分かれ、途中順序を入れ替えながらの登りである。 ガイドさんは福島から来たメインガイドであるだんだん企画の高橋さんと、60歳過ぎの高畠さんである。 高橋さんは、ぐいぐい引張っていくタイプで、究極の登りの快感を味わせてくれる。 高畠さんは、逆にゆっくり歩を運び班員全体に気を配ってくれる。 対照的なお二人であった。
 白根神社に安全登山を祈念して登り始める。 最初は歩きやすい樹林帯の道を登ることになり、今回は、お花畑もないのでただひたすら歩を進める。 ハイキング気分で歩を進めていると大日如来の石仏過ぎあたりから樹林帯の中の急登が始まる。 結構きついが、高度を上げるにつれて木々の間に遠くの山々が見渡せるようになり、あれが至仏山、あれが燧岳と、きつさを和ませてくれる。 なんと、富士山が雲海の上に顔を出しているではないか。 ゴンドラ山頂駅からは、ほんの一登りに見えたが、なかなかどうして結構きついが、ゆっくり目の進行に助けられてそれほどの疲れも感じない。
 樹林帯を抜けると一転してガレ場の道になる。 快晴のお陰で、四方の山々が遠くまで見渡せる。 素晴らしい。 最後の厳しい登りも、あと一息と言う気持ちと、周りの景色の素晴らしさに助けられて一気に詰める。
 山頂は3つあるピークの真ん中で、非常に狭く、順番待ちで写真を撮らなければならず、30人が一緒に留まるスペースは全くない。 四方の景色を写真に納めると早々に3つ目のピークに移動し、ここでゆっくり四方の山を眺める。 富士山、旭連峰、飯豊山系、尾瀬の山、谷川連峰、浅間山、数え上げたらきりがない。 あれ槍ヶ岳? 誰やらの声に驚いて眺めれば、なんと槍ヶ岳、穂高連峰がはっきり見え、後立山らしき山並みと、妙高、火打が遠く見渡せる。(写真 上左:尾瀬の山、上中:富士山、上右:丸沼・菅沼と燧岳、下:浅間山と遠く槍穂高)

 山頂であわただしく昼食を済ませ(このツアーは何でいつもこう気ぜわしいのだろう)、集合写真を決めると、登ってきた方向とは逆側の弥陀ヶ池に向けて下山を始める。 この道も下ってみると急である。 道は一気に下っているが、下る方は「やれやれまだかいな」と言う気分で急斜面を降りる。 まあ、標高差が知れているので膝がおかしくなるほどのこともなく弥陀ヶ池のほとりに着き、その後はそれほどの急斜面はなく、樹林帯の中を下る。途中、六地蔵尊を拝み、山での安全を祈願する。 山頂駅に帰り着き、改めて仰ぎ見る白根山はますます立派に見え、この山を極めた満足感に浸ることが出来た。

2005年10月14日 二荒山神社ー男体山ー二荒山神社ー那須高原

 朝目覚めると、なんと快晴。 天気予報が幸運にも今日も大外れである。 今日の男体山はかなりハードな登りが続くと言うことで、心して臨まなければならない。 標高差1200m以上あり、ふもとから山頂まで真っ直ぐ線を引いたような登りルートである。 とは言え、見上げる山は余り特徴もなく、なんとなく裏山に登るような感覚に陥ったが、後でこの山の厳しさを十分味わうことになった。 今日も、神社(二荒山神社)にお参りしての出発である。
 鳥居をくぐるとすぐ直登が始まる。 きれいに整備された木立の中の笹が覆い茂る斜面に真っ直ぐ道が作られている。 石ころもなく広い土の道が整備されている。 とにかく急ではないが常に傾斜があるので、アキレス腱が伸びっぱなしの状態が続く。 45分ぐらいの登りであろうか、一汗かいたところで突然車道に出る。 ここからしばらくは舗装された車道を歩くことになる。 何でここだけかなり蛇行した車道を行くようになるのかはなぞであるが、ほかが急登の連続であるだけに、ほっとできる約20分である。 車道を行くと4合目の鳥居があり、ここから再びきつい登りが始まるが、ここでの一本の間に長袖シャツを脱ぎ捨て、半袖Tシャツに切り替える。
 一般的な登山道をしばらく登ることになるが、5号目、6合目と登るに従い斜面がきつく、しかも、岩だらけのいわゆる高山特有の登山道となる。 途中途中で、見下ろす中禅寺湖とそれを取り囲む山並みの景観が紅葉越しに楽しめるが、各合目にある鳥居や避難小屋を目標にひたすら登る。 7合目で、調子を崩した女性とその連れの方がリタイヤーされることになったが、この急登では何人かの人が調子を崩してもおかしくはないというか、それほどきついのぼりである。
 調子を崩しかけた人を気遣っていたガイドさんも、ここからは容赦なく皆を引っ張りあげることになる。 スピードを上げ、しかも、ノンストップでぐいぐい登る。 皆必死であったろうが、弱音も吐かず、黙々とついて登る。 たしか9号目ぐらいから始まる横木を1本ずつ埋め込んだ階段が延々と続くと、さすがにこたえる。 やっと階段がなくなったと思ったら、ガレ場の急途である。 赤っぽい砂利や砂に足を取られながらもとにかく登る。 単独行であれば、間違いなく休んで水を浴びるように飲んであろう。 まさに、苦行である。 修験者の気持ちが分かりかけたころ、頂上が垣間見えた。 しかし皆タフである。 隊列は全く乱れず連なっている。 苦しかっただけに頂上に到達したときの達成感といったらなかった。 到達してみたら、それほどの疲れが残っていないのは不思議である。 しかも今日も快晴、360度の眺望のごほうびが待っていた。

   

  写真 上左:前日登った白根山、上中:山頂のナナカマド、上右:見下ろす中禅寺湖
      下左:燧ケ岳を望む、下中:南側の山並み、
      下右:白根山をバックに、きつい登りを制し、よろこび溢れる美女軍団の一部

 昼食を楽しんだ後は登った道の折り返しである。 急な斜面をひたすら下る。 きつい登りを制した後だけに皆の足取りも軽い。 特にガイドさんは軽快で、付いていく方が大変である。 車道を下るころになると、進行もゆっくりとなり、わき合い合いの談笑のうちに神社にたどり着く。 駐車場までの道筋の売店で缶ビールを買い込み、飲みながらのご帰還である。
 この日のうちに、那須高原にバス移動し、宿泊先の巨大なリゾートホテルに着くと、数々の露天風呂あり、プールあり、豪華バイキング料理ありで登山に来たことを忘れさせてくれる。 お酒の好きな人は、山に来るとますます飲みたくなるらしい。 私のように多少たしなむと言う人は少数派で、男女を問わず、お酒、お酒である。 特に男性の方々は、食前、食中、食後、就寝前とお酒を楽しんでいる。 しかし翌朝になると、「二日酔いでどうも」なんて人は皆無で、厳しい登りを平気でこなす。 まあ、今夜は温泉旅行気分で、結構、結構。

2005年10月15日 那須高原ー茶臼岳ー那須高原

 なんとなくおまけ気分漂う今日の山行であるが、この山は、大学時代に計画して中止となって以来なんとなく気になっていたので、その解消が出来るのは幸いである。 朝風呂に入った後のけだるさが残る身をバスに預け、ロープエー山麓駅に向かう。 今日は天気予報どおり、空は雲に覆われているが、周囲の山は良く見渡せる。 頭の丸い茶臼岳、険しい形の朝日岳が麓から良く見える。 下から見るとロープエーが茶臼の頂上のすぐ近くまで伸びているように見えるが、実際は、40分弱の登りが必要である。

 山頂駅からはガレ場の登りになっていて、視界をさえぎるものは何もなく、朝日岳が間近に見える。 朝日岳の山肌は、笹と潅木に覆われていて、潅木の紅葉と笹の緑の対比が素晴らしい(はずだ)が、曇っているせいか彩がいまひとつである。 今日は行程が短いことが分かっているので、快調に登る。 汗をかくまでもなく頂上に到着。 しかし、小雨がぱらつき始めたので、集合写真を撮って、早々に下りに掛かる。 下りは、峰の茶屋経由で、ロープエーの山麓駅の駐車場まで下る。 噴煙を上げるお鉢周りや、紅葉の山肌を楽しみながらの下りであった。 幸い雨も上がり、のんびりと下る皆の足取りも軽く、楽しい山行を締めくくったのであった。

写真:茶臼岳の噴煙と朝日岳

 

写真:峰の茶屋付近から

 

 下山後のお風呂を楽しんだ後、バスで羽田空港へ、そして広島へと無事に帰還することができた。 今回も行ってよかったと言うツアーとなったが、これも同行の愉快な仲間と、声が大きくて、てきぱきとした女性添乗員さんのお陰である。 またいずれかのツアーでお会いするかもしれない皆様に感謝の意をこめて本稿を終える。 山頂での集合写真はこちらに


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