久住山、平治岳にミヤマキリシマをたずねて

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 テレビのニュースや、山番組などで、山肌を一面にミヤマキリシマが咲き誇る映像を一度は見たことがあると思うが、それを現場で、我が目で見てみたいとい う私の長年の願望がついに実現した山行であった。 私としては、三度目の久住登山(50数年前と25年ほど前の夏に訪れた)で、この季節は初めてである。

 毎年、ひろでん中国新聞旅行社の年間カタログに必ず載っている「ミヤマキリシマの久住山と平治岳登山2日間」というツアーに参加して、梅雨入り宣言直後 の、牧の戸峠ー久住山ー法華院温泉(泊)ー平治岳ー長者原コースに出かけてきた。 梅雨の時期にしては、1日目に一部雨中行進を強いられたものの、2日目 は何とか天気も持ちこたえてくれて、大戸越、平治岳頂上付近の素晴らしいミヤマキリシマを楽しむことができた。 特に、大戸越からミヤマキリシマを縫うよ うに登りつめて、平治岳頂上を展望した時に目の当たりにした光景には、忘れることのない感動を覚えた。 大戸越であまりの素晴らしさに感激し、更にまた、 それ以上の感動を覚えたのであった。

 しかし、我が愛するミラーレス一眼までが涙し(前日の雨でレンズ内に曇りが生じ)、全く使い物にならず、千載一遇のシャターチャンスにもかかわらず、ろ くな写真しか撮れなかった。 ここに掲載する写真は殆どがコンデジでの撮影のものである。 しかし性懲りもなくこの一眼で撮り続けたので、一部マシなもの を掲載したが、画面の部分部分がボケボケであったり、色合いが変なものは、この一眼での撮影のものである。

2014年6月7日 牧の戸峠-久住別れ-久住山往復-法華院温泉(泊)

 広島から高速で、ツアー客21名(女性13,男性8)を乗せたバスがひた走り、牧の戸登山口に到着した時点では、薄曇りの天気であったが、土曜日ということもあり、登山客でごった返していた。
13時過ぎ、コンクリートの立派な幅広登山道を我が隊は一列をなして粛々と進む。ガイドさんは地元山岳ガイド団体所属の物静かではあるが、頼りがいの有 りそうな中年男性。2日間、メンバーの状況を見ながら、引っ張るところは引っ張って、隊列を乱さないように、しかも、「後40分」といえば、ほとんどその 通りの時間で到達する先導ぶりで、見事にガイドしてくださった。

沓掛山に到着し、久住山方面を眺めると、山々の頂上は雲に隠れて展望できないものの、縦走路ははっきり見えている。 この時間なので、登山客の数は思っ たほどではなく、対面者まちの渋滞発生もそれほどではない。縦走路の所々にミヤマキリシマがお目見えし、テンションも徐々にあがってくる。縦走路は何人も の人が並んで通れるぐらいに広く、起伏も少なくすこぶる気持ちが良い。

しかし、散見された色鮮やかなミヤマキリシマであるが、扇ヶ鼻分岐、久住別れと進むうちに、その鮮やかさがどんどん失われてきた。 大発生した尺取り虫 が葉っぱを食べつくし、葉のない茶色の株が大部分になり、茶色の株のあちこちで尺取り虫がうごめいている。

 久住別れから久住山にピストンで登山したが、その途中の、山肌を彩るはずのミヤマキリシマは、まさに、全滅状態で、ただただ 真っ白の霧に包まれた山頂に立つことになった。 再び久住別れに戻り、北千里浜を経て法華院温泉まで、期待したミヤマキリシマの群落を目にすることなく、 小雨の中を歩き続けた。 この時の失望感と、翌日への期待感をも奪われた状態が、まさか翌日の大逆転ホームランの序章であるとは、この時は知る由もなかっ た。

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 今夜のお宿は、法華院温泉。50数年前にここで泊まったことがあるが、その時の様子はあまり覚えていない。きっと山荘が大きくなっているのは間違いない し、その時は風呂場がひとつしかなく、男女交代で使用したのを覚えている。そして、たしか当時の泊り客は若い人ばかりであった。
 山荘にしては、8品のおかずが並び、豪華な夕食であったし、BGMとしてながれる「坊がつる讃歌」が哀愁を誘う。 生ビールと、メンバーがごちそうしてくれたバーボンと、メンバーたちとの楽しい会話で第1日目を締めくくった。

2014年6月8日 坊がつる-大戸越-平治岳-大戸越-坊がつる-雨池-長者原-広島

 朝5時ごろ、小屋を出て坊がつるを見渡すと、たなびくうすモヤの向こうに大船山、平治岳が望め、きわめて幻想的な雰囲気をかもし出していた。 すばらしい。 こんな光景はめったに見られるものではない。

 朝6時前に山荘を後にして、平治岳(「ひいじだけ」と読むそうな)に向かう。 出発前のミーティングで、ガイドさんから、「平治岳山頂付近のミヤマキリ シマは昨日が満開状態だったそうです」との情報が聞け、一気に期待が高まる。 山々に囲まれた雰囲気の良い湿原、坊がつるを横切り、いよいよ登山を開始す るが、 ここは有名などろんこ路と言うことで、ここから大戸越まではまさにどろんこに靴を取られながらの登りとなった。
 小屋を出て登ること1時間15分。 やっと暗いどろんこ路から抜け出し、前方から沸き上がる歓声に胸踊らせ辿り着いた大戸越。なんということだ。目の前 から、遥か上方の山の上まで、紫がかったピンク色のミヤマキリシマがぎっしり。 今や盛りと咲き誇っている。
 あわててカメラを構えるが、画面が曇っていてはっきり見えない。あせってレンズを拭いてみるが、どうやらレンズの中が曇っていてどうにもならない。ツ アーでなければ、曇が取れるまで待ちたいところであるが、そういうわけにもいかないので、コンパクトデジカメに切り替えて、夢中でシャッターを切る。

 高揚した気分冷めやらずの状態で、今度はミヤマキリシマを縫うように頂上への登りを進む。右にも左にも、前にも後ろにも、ミヤマキリシマ。 遥か上にも、遥か下にもミヤマキリシマ。

 そして登りつめたところで、次の驚きが待っていた。 平治岳の頂上が、そしてそこに至る斜面が見渡せ、その全面がミヤマキリシマ。 思わず絶句。 そして歓声。
 頂上を極め、あたりの絶景を眺め、そして頂上を後にしてまた何度も振り返る。 ここを後にするのが惜しい。 そのような様子の若い男性二人組に声をかける。 「すごいね」 すぐさま返事が、「すごいですね、感動しました」
 ミヤマキリシマを眺め、ミヤマキリシマに身を沈めるという大満足の時を過ごして、再びどろんこ路を坊がつるへ。興奮を鎮める、癒しの坊がつる湿原を横切り、結構長くて疲れた身には辛い登り降りではあるが新緑のきれいな道のりを長者原 へ。  長者原に着いて、足元の泥を洗い流し、バスに乗った途端に土砂降りの雨が降り注ぎ始めた。ラッキーな事この上ない。  近くの温泉で汗を洗い流し、生ビールで喉を潤し、広島へご帰還である。  この感動的な山旅をご一緒したメンバーの方々、楽しく盛り上げてくださってありがとうございました。 久々にお世話になった添乗員の笠井さん、ベテランの味が出ていて楽しかったですよ。 帰りのバスで、メンバーの一人のリクエストに応えて笠井さんが熱唱した「坊がつる讃歌」は、忘れることができない程の素晴らしさでした。


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