天候にも恵まれ、一年ぶりの上高地を楽しみながら、二日目横尾まで進んだのだが、横尾の手前から左足のかかとが踏むたびに痛み出した。今日の行程はゆっくりしているので、横尾でベンチに座りゆっくり休憩を取り、再び歩き出すと、痛みが相当ひどいものになっていた。あきらめきれず、それでもしばらく歩を進めたが、9月半ばに仲間と東鎌を槍まで行くことになっているのが頭をよぎったり、ひどいことになったら、今後の山人生にも影響しかねないという思いが強くなった。それより、なによりも、痛くてまともには歩けない状態であった。
そこで、残念ではあったが、ここから引き返すことにした。横尾でテントを張ろうかとも思ったが、テントを張るなら徳沢でしょう、と言う思いで、足をかばいかばい何とか徳沢まで戻り、テン泊した。
三日目も良いお天気で、痛む足をかばいかばいの歩みながら、気持ちの良い梓川沿いの散策を楽しんだ。というわけで、大した山行記にはならないのだが、写真だけは一生懸命に撮ったので、その一部を紹介させていただきたいと言う思いで、ここに記することにする。
広島から、新幹線、在来線と乗り継ぎ、高山からのバスで上高地入りしたのが、15:30。 観光客で賑わう河童橋周辺を一年ぶりに楽しんだ後、早速、小梨平キャンプ場へ。受付を済まして、穂高岳が良く見えるスポットを選び、テントを張る。
このキャンプ場は、バス停からも近いので、登山には関係ない人もテントを張る人が多く、オートキャンプ場で見られる巨大なテントも数多く張られている。私のとなりにもそのようなテントが張っていたので、椅子に座られている老夫婦に話しかけると、なんと、7月末から逗留していて、約1か月この場のテント泊を楽しむということであった。至れり尽くせりのキャンプ場には、売店、食堂、風呂、複数の炊事棟と水洗トイレがあり、言うことなし。
テントを張った後、まだ時間があるので、散策に出かけた。河童橋を渡り、久しぶりにウエストンさんに。ウエストンさんのレリーフにあいさつした後、上高地アルペンホテルのロビーで六百山を見上げながら、コーヒーとジュースでゆっくり休憩した。ここは、300円で飲み放題。上高地で安く休憩するにはここが一番。雰囲気もよし。
夕方、雲が切れて、穂高連峰が顔を出した。雲が時々現れるので、夕日に映えてなかなか味のある風景を見ることができた。
初日の夕食は、ひと風呂浴びた後、客でにぎわう食堂で。とんかつ定食と生ビール。とんかつは、外側サクサク、味のある豚肉。うまい。 登山組ではないファミリーや仲間内の会話が遅くまで続いていた(ようだ)が、構わず熟睡。
爽やかな朝を迎えた。昨晩は、この時期には珍しく冷え込み、夜中に寒さに震えて目が覚めた。ダウンのジャケットを着こみ、シュラフを防寒シートで包むと快適になり、5時まで熟睡した。穂高連峰がくっきり姿を見せて、てっぺん辺りが日を受けて輝いて見えた。
テント内に胡坐をかいて湯を沸かし、リンゴジャムのパンにコーンスープ、紅茶の朝食を取り、機嫌よくババ平に向けて出発した。樹林帯では木漏れ日を浴び、渓流沿いでは清い流れを覗き込み、刻々と姿を変える明神岳を見上げ、気分よく歩を進める。明神を過ぎると、明神岳峰々の全貌が良く見えるようになる。さらに、徳沢に近づくにつれて明神岳の長い山並みの向こうに、前穂高東壁が姿を現し、山並みが風格を増して見えるようになる。徳沢では、急ぐ旅ではないので、前にテントを張ったあたりで山を見上げながらゆっくり休憩を取る。
横尾に近づくにつれ、前穂東壁の姿が迫って見えてくる。それはいいのだが、左足のかかとが踏みしめるたびに痛むようになった。結構痛むので、左足をかばうようにして、何とか横尾にたどり着いた。横尾では大勢の登山者が休息をとっており、華やいだ雰囲気が漂っていた。私はと言えば、長い休憩を取りながらも、足の不安で浮かない気分であった。
横尾から、ババ平に向けて歩き始めたが、痛みはさらに増している。このまま歩き続ければ、悪化するのは目に見えている。ここで潔く撤退する決断をした。どうしても行かなければならないということでもないし、足を台無しにすることは避けなければならない。上高地周辺の雰囲気を楽しめただけでも良かったと思わなければならないだろう。
朝5時半に目を覚ましたが、期待した明神・前穂のモルゲンロートがほとんど見られなかった。いつもは真っ赤に染まるのに、残念である。 朝食後は、早々とテントをたたみ、河童橋へと向かった。足の痛みが和らいでいるように感じたが、小梨平に着くころには、かなりの痛みが戻ってきていた。急ぐ旅でもなし、去りがたい上高地でぐずぐずした後、バスに乗り込み、広島への帰路に就いた。
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