山行記_飯豊山登頂記

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 飯豊山といえば、奥深く、簡単に近づけるような山ではないような気がしていたが、ひろでん中国新聞旅行社の寝袋、食事用意付きツアーなるものがあるのを知り、ヒメサユリ咲く、あこがれの飯豊山を訪れることにした。
 ツアーは、麓の川入りの民宿に1泊し、翌日飯豊本山避難小屋まで行き、次の日に大日岳をピストン登頂して三国避難小屋まで引き返して泊まり、次の日に下山するというハードな日程である。
 女性16名、男性6名の参加者に加えて、ガイドさん2名、添乗員さん合わせて25名のパーティーであった。 上級プラスとランク付けされていることもあって、参加者はベテラン揃いで、話題も全国各所の山に及ぶ。
 ちょうどヒメサユリが咲き始めた時期で、その上品な色合いで登山道の両サイドを彩ってくれていた。 飯豊リンドウの時期にはまだ早く、たまたま見つけた一輪を囲み皆で大喜びしたが、帰って調べてみたらどうも違うみたいである。

2009年7月6日 川入(小白布登山口)ー三国岳ー種蒔山ー飯豊山ー本山小屋(泊)

 朝 5:30 小白布登山口を出発する。 梅雨の合間の申し分ない晴天。 心がけの良い人たちが集まったみたいである。
 道は、土路で歩きやすいが、やがて傾斜がきつくなり、急登急登の連続となる。 ぬかるんだところが多く滑りやすいので注意を要する。 今日の主リーダーの高橋さんは、我々の間ではスピードが速いことで知れ渡っているが、今日は比較的ゆっくり目である。 しかし、暑い。 蒸し暑い。 体調が悪いのではないかと思うほど汗がほとばしる。 前を歩く女性が、小さな花を見つけては、これは何、これは何と教えてくれるが、そんな小さな花に注意を向けるほど快適ではない。 いつもより重いザックが汗を呼ぶ。
 休憩を入れて1時間50分、やっと稜線に出る。 川入りからの登山道との合流点である。 時々吹いてくる風がありがたい。
 尾根沿いのアップダウンがあるものの傾斜の緩い道をしばらく行くと、前方に三国岳と三国小屋が見え始め、待望のヒメサユリが姿を見せ始めた。 薄い上品なピンク色である。 20分ぐらいで、豊富な水が流れ落ちる水場に出る。 顔を流し、のどをうるおす。 おいしい。

 水場からルンルン気分で稜線歩きを一時間弱続けたところで、岩場がはじまり、やがて剣ヶ峰のやせ尾根を通過する。 両側が切り立っているものの、それほど危険な岩場ではない。 しかし、最後のちょっとした鎖場と、それに続くやせ尾根は、雨風のときは注意を要するだろう。 無事岩場を過ぎ、あとはひたすら三国小屋を目指す。 分岐から、休憩を入れて2時間15分三国小屋に到着した。

 三国小屋のある三国岳(1644m)は、新潟、山形、福島三県の県境となるそうだ。 晴れていて周辺の山々は見渡せるが、大日岳は残念ながら雲の中。 20分の休憩ののち、三国小屋を出発、20分歩いたところで再び鎖場。 そして、ヒメサユリやニッコウキスゲなどを楽しみながら種蒔山(1791m)へと登る。 種蒔山からは、小さな雪渓をトラバースなどして、明るい尾根道をやや下り、切合小屋まではほんの一息である。 12時丁度到着。 三国小屋から2時間であった。 ここで昼食休憩。 豊富な水がうれしい。

 30分休憩ののち出発。 15分ほど歩いて雪渓にとりつく。 結構大きく、傾斜がきつい。 全員アイゼンをつけての登りである。 雪渓を登り切るのに20分はかかったように思うが、さらに登ると今日のお宿の本山小屋と、飯豊山が見渡せる頂の上に立つ。 切合小屋から50分、ここで休憩。
 さらに一旦下り、お地蔵さまが鎮座する鞍部を抜けると今日3度目の岩稜に出る。 鎖もあるが、大したことはない。 そして、今日最後の登り、飯豊山にとりつく。 これまでの行程で、相当疲れているが、登りの終点らしき石積みを目指して歩を進める。 なかなかそこまで届かないつらさをこらえて、ようやくたどり着くと、小屋まではもうわずかである。 本山小屋到着15:00。 休憩も入れて、登山口から9時間30分。 この人数のパーティーにしては、まあまあのペースであろうか。

 本山小屋は、他の小屋と同様外壁がトタンのようなもので覆われていて、安普請のように見えるが、中に入ってみるとしっかりした木組みの2階建てで、なかなか快適である。 我々のパーティーのほかに、二人のパーティーが二組。 我々が2階を占めてゆったり眠れる状態であった。
 本山小屋に到着して休む間もなく飯豊山(2105m)の山頂に向かう。 ほんの15分ぐらいであろうか。 山頂にて全員で集合写真に収まる。 山頂からは、あす登る残雪豊富な大日岳の雄姿を拝むことができた。 帰路、一輪だけ咲いているイイデリンドウを見つけ大喜びしたが、帰って調べてみると、どうも飯豊リンドウではなく、ミヤマリンドウに似ているリンドウであることが分かった。
 夕食はレトルトのカレーであったが、これがたいへんうまい。 重い思いをして運んでくれた生野菜のサラダと相まって、豪華とは言えないかもしれないが一同満足のいく夕食であった。

2009年7月7日 本山小屋ー御西岳(近くのお花畑)ー本山小屋ー三国小屋(泊)

 朝起きると小屋はガスに包まれているし、風も強い。 ガイドさんから、残雪が多く、この天気では危険が伴うので、大日岳登山は中止し、御西岳まで行って引き返す予定だというお達しがあった。 残念ではあるが、今日は11時間を超える行程を覚悟していた身には、ほっとした面もある。
 霧雨の降る中、合羽を着て小屋を出発する。 のどかな、緩やかであはあるがそれなりのアップダウンのある道を行く。 晴れていたらどんなに気持ちがいいだろうと思わせるが、花々にはまだ季節が早いようで、一面のお花畑というわけにはいかない。 結局、御西岳手前の、季節によっては花が乱れ咲くお花畑のあたりで、天候も回復しないので引き返すことになった。 帰路一時ではあるが雲がはれ、大日岳など周辺の山々、遠く磐梯山などが見渡せた。
 下の写真は、御西岳側から見た飯豊山(左奥のピーク)と、本山小屋(右ピーク上)である。

新潟県側の山並み

 9:25には本山小屋を後にし、昨日登り来し道を三国小屋へと引き返す。 今日は時間的に余裕十分なので、昨日眺めた花々をもう一度愛でながら楽しむ。 今回の山行で見つけた花々を女性陣がメモしていたが、40種に及んだそうである。 13:30三国小屋に到着。 あとは、ゆっくり休息し、食べて寝るだけである。

2009年7月8日 三国小屋ー小白布登山口

 小雨に煙る三国小屋を後にし、一路下山。 風も強く、剣ヶ峰の濡れた岩場には注意を要したが、ひたすらの下りである。 いつも下山時に感じることだが、こんな急な所をおととい登ったのかしらんと思う。 ぬかるんだ道に足を滑らせ、おっとっとということを何回か繰り返しながら、それでも皆元気に下山した。
 麓の温泉で汗を流し、喜多方市のそばどころ「飯豊りんどう」さんに立ち寄り、そばと山菜とてんぷらと刺身こんにゃくとビール。 うまい。 本ツアーを締めくくるハイライトであった。 

 避難小屋に2泊するという今回のツアーに参加して、またひとついい経験を積んだと思う。 7月末には、トムラウシでウン十年ぶりでテント泊をするので、その準備運動的な役割もあったと思う。 また、愉快なツアー仲間たち、ガイドの高橋さん、平本(?)さん、添乗員の笠井さんお世話になりました。 またどこかでお会いしましょう。

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