紅葉の涸沢と奥穂高岳登頂記

HOME
 

 紅葉の涸沢と言えば、その美しい光景が毎年TVで放映されるので、一度は訪ねてみたいものだと思っていたが、私の所属する「坂歩こう会」の若手女性陣に誘われて、混雑覚悟で同行することにした。
 若手と言っても、50歳代前半から60歳までの3人の女性(末永さん、進藤さん、高田さん)であるが、それでも私に比べるとはるかに若い。それに、坂歩こう会の帆足会長(赤帽さん)と西原さんご夫妻、私の計7名のグループで出かけることになった。
 8月初めに山小屋の予約をかけたが、その時点で、横尾山荘、徳沢園、徳沢ロッジなど軒並み満室で、やっと明神の山のひだやに予約することができた。涸沢ヒュッテにも一応予約したが、おそらくここは、ぎゅうぎゅう詰めの覚悟が必要である。
 広島から出かける日から帰るまで、天気は上々で、特に、涸沢に入る日と奥穂高岳に登る日の2日間は雲一つない快晴で、またとない登山日和となった。涸沢の紅葉は、まだ色づき始めというところであったが、日に日に色が濃くなり、目を楽しませてくれた。

2017年9月24日 上高地-明神(泊)

 広島から、新幹線、在来線と乗り継ぎ、高山からのバスで上高地入りしたのが、15:30。上高地は相変わらずの賑わいだが、紅葉の季節にはまだちょっと早いということか、特別の賑わいと言うほどではなかった。
 ここを訪れるたびにわくわくする穂高連峰の展望も、雲がかかっておらず、まずまずで、楽しい出発となった。河童橋を渡り、岳沢側の渓流沿いの路を明神まで歩き、明神池を観賞し、穂高神社奥宮で登山の無事を祈願し、山のひだや入りした。
 岩魚の夕食を楽しんだ後、皆で明神橋の上で星空を見上げたりして最初の夜を楽しみ、男女が二つの個室に分かれて明日に備えて早々と眠りについた。


写真クリックで、その写真が拡大され順送りができます。 本ページに戻るには、右上Xボタンか写真の外をクリックして下さい。

2017年9月25日 明神-涸沢(泊)

 6時過ぎに、朝焼けに輝く明神岳を見上げながら、明神を後にし、いよいよ出発である。徳沢、横尾と歩を進めるが、刻々とその朝焼けの姿を変える明神岳が美しい。
 横尾から山道に入るが、本谷橋までは比較的平坦な道が続く。10月が間近と言うことで、気温も夏ほど高くないので、汗をぬぐう回数も数段低くて済む。順調にこのコースの本谷橋に到着し、ここでゆっくり休憩を取る。皆さん元気で明るく、グループ登山の楽しさを味合わせてもらえる。

 本谷橋からの登りは結構きつくなるが、2週間前にここを登った時に比べると、気温が低いせいか、皆さんと一緒だということで気がまぎれるせいか、はるかに楽に感じる。だんだん見えてくる穂高連峰にも気分が沸き立つ思いである。それでも、長いだらだら登りをこなし、紅葉した灌木が点在する涸沢ヒュッテ間近に近づいた時は、やれやれとホッとした。

 涸沢ヒュッテに到着すると大勢の人でにぎわっていたが、思っていたよりも賑わいが少なく、2週間前の時よりも少ないくらいであった。宿泊の手続きを済ませ、早速周りの景観を楽しむが、色づきは始まったばかりと言う感じであった。でも、中には、もう真っ赤になったナナカマドも点在していて美しい。
 売店も人が並んでいない状態であったので、デッキに座り込み、早速、おでんに生ビール。
 今夜は、布団3枚に7人で就寝と言うことになったが、週末はおそらく3枚に9人にはなると思うので、まだましとあきらめて眠りにつく。

2017年9月26日 涸沢-奥穂高山荘-奥穂高岳-涸沢岳-涸沢(泊)

 モルゲンロートを楽しみにしている人たちとヒュッテのデッキで日の出を待つ。今日も雲一つない快晴である。 太陽の出る方向の雲の具合か、今一つ赤みが欠けるが、山々が赤い日に照らされると、今日が最高の日となるような気がしてうれしさがこみあげてくる。

 涸沢ヒュッテを後にして、まずは白出のコルの奥穂高山荘に向かう。ごろごろ岩の厳しい路ではあるが、赤く染まった灌木の間を縫うように登るところでは、気分も高揚(紅葉)するというものである。ザイテングラードの取っ付きまで、やれやれという思いでたどり着き、ここで、起き抜けに半分食べた朝食弁当の残りを平らげる。
 ザイテングラードの登りは厳しくつらいが、2週間前に比べると、涸沢出発と言うことと、気温がだいぶ下がっていることもあり、快調に高度を稼ぐ。メンバーの中には、大分こたえた模様の人もいたが、それでも元気に奥穂高山荘にたどり着いた。ここで、奥穂登頂済みで、三角点のある涸沢岳に興味を持つ帆足会長と、大事を取った西原夫人が待機することになり、5人のメンバーで奥穂高山頂を目指すことになった。

 山荘からは、まず、垂直に近く見える崖面の登りがあるが、厳しい岩場登りの経験のない女性たち(内2人はアルプスデビュー)が怖がるのではないかと心配したが、登り始めに見上げる表情も落ち着いていたし、黙々と岩場・鎖場・鉄バシゴをこなし、問題なく崖面の上まで登りつめた。もちろん怖い思いはあったかもしれないが、何カ所かでの私のアドバイスと、後ろに控えた西原さんの落ち着いた存在に心強さを感じていてくれたのかもしれない。
 最初の難所を通り抜ければ、後はごろごろ岩道を登るだけ。快晴で、澄み渡った空。山々がくっきりとその姿を見せている。頂上にたどり着き、テンションの上がったみんなが、何度も、入れ代わり立ち代わり頂上での写真を撮り合う。360度の大展望。北アルプスのほとんどの山々が展望できる。遠く南アルプスや八ヶ岳など数えればきりがないが、富士山だけは雲に隠れていた。

 奥穂高岳からの下りには、最後に例の難所が待っていて、女性陣もここが気がかりのようであった。しかし、ここも、私の「身体を壁から離し気味にして、足の置き場をよく見ること」と言う事前のアドバイスが効いたか、多少こわごわながらも無事下りることができた。ホットするとお腹がすくもので、山荘で女性陣感謝のおごりの醬油ラーメンに舌鼓を打ち、汁まで飲み干す。
 奥穂高山荘からは、待機していた二人とともに、涸沢岳をピストン登山したが、私だけは、2週間前に登ったこともあり山荘前で待機することにした(ちょっと大儀だったこともありまして)。

 私と、今日登ってしまうともったいないと思って(?)途中から引き返してきた高田さんが待っていると、頂上ではなくもう一つ先のピークにある三角点を探し出しタッチしてきた赤帽さんと西原さんを含め、5人のメンバーが涸沢岳に登頂し元気よく引き返してきた。すると、末永さんらが、赤ヘルにカープのユニホームを着た男性を見つけ出し話しかけている。この人を含め3人の男性は、広島から来た人で、中の一人は、ジャンダルムの上で逆立ちをしてきたという。その写真を見て、女性陣は大喜びであった。(記念撮影写真は高田さん提供)
 ザイテングラードとそれに続くごろごろ路を元気よく、かつ、慎重に下り切り、涸沢ヒュッテと涸沢小屋への分岐を、今度は、涸沢小屋に向かう。このコース選択が非常によく、真っ赤に染まったナナカマドの点在するところを下ったり、紅葉の向こうに常念岳を展望したり、感動の下りとなった。
 大満足の一日を終え、まだ興奮冷めやらずといったところあったが、昨晩よりだいぶ広い就寝スペースを得て、気分の良い眠りで最後の夜を締めくくった。

2017年9月27日 涸沢-上高地-広島

 来た時よりも大分色づきを増した紅葉の涸沢の朝を迎え、出発の時が来ても、皆さん去りがたい思いでたたずんでいる。今日は広島まで帰りつかないといけないし、遅くなると、どんどん増える涸沢に向かう登山者との履行が増えてしまうということで、促す私の声に、ようやく皆さん反応する。横尾に向かう長い下りでは、まだ紅葉の気配が薄く見どころもあまりないが、背後で見送ってくれている穂高連峰を振り返りながら、まだ、興奮冷めやらずと言ったところであった。
 横尾からも上高地までの長い道のりが待っている。徳沢でソフトクリーム、明神で早めの昼食を食べ、上高地に着いたのは12時半ごろであった。

 今回の山行は、バラエティーに富んだメンバーが集まったのでどうなるんだろうと思っていたが、日頃から「坂歩こう会」で山行を共にしているので、とても息の合った、余り気を使わなくて済む山旅ができた。女性陣は明るく、元気で、おしゃべりで、すぐにお腹がすいてしまうという面もあったが、とにかく楽しい毎日であった。帆足会長、西原ご夫妻にも楽しい山旅であったことと思います。いろいろお世話になりました。
 そして、強調すべきは、最高の舞台で、最高のお天気。この最高だった山旅は、私にとって忘れ難い思い出の山旅になりそうである。


ウインドウズ デスクトップの壁紙(テーマ、Windows Desktop Theme) 用写真は こちらから ダウンロードできます。

山々の写真をアルバムにしています。 こちらをどうぞ

  山の道具のお買い物には 「山屋」 をよろしく。                      HOME