大雪山・十勝岳登頂記

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 梅雨時の山行としては昨年と同様北海道がよかろうと、今年は、大雪山、十勝岳の二山を登るアミューズトラベルのツアーに参加した。 天気にはまあまあ恵まれ、楽しい山行となった。
 参加メンバーは、九州から、ご夫婦2組と単独参加の女性2名の計6名、広島からは、ご夫婦1組に単独参加の男女3名ずつ計8名、これにリーダーと添乗員さんの総計16名。 ややこじんまりした集団であったが、それだけに全行程一糸乱れぬ行動で走破することができた。
 なお、この山行で撮った写真を素材にして、FLASHのフォトギャラリーを作成した。 こちらのページをぜひ見てください。

2008年7月6日 層雲峡ー黒岳ー北海岳ー旭岳ー天人峡温泉(泊)

 前日千歳空港から層雲峡に入り、温泉とビールで早寝したお陰で起床時間よりもはるかに早く起きだして準備怠りなしというところである。 ロープウェイとリフトを乗り継いで黒岳の7合目から登り始めたのは6時45分ごろであった。 ジグザグの歩きやすい山道を登る。 緑も新緑とは言わないまでも、鮮やかで若さあふるる色をしていて気持ちがよい。 しかし、両サイドの灌木の背が低く太陽をまともに受けることが多く、暑い。 途中休憩で長袖Tシャツを脱ぎ、半袖Tシャツに着替える。
 山道の両サイドに咲く数々の花の名をリーダーが教えてくれるが、とても覚えきれない。 花の名前は苦手であるが見るのは嫌いではない。 とにかく、ナナカマドとウコンウツギが今を盛りと咲き誇っている。
 7合目からだから、ほんのひと登りと思っていたが、急登で暑いこともあって、結構きつい。 しかし、リーダー(江藤さん)がややゆっくりめではあるが安定したリズム感のある登りをとってくれるおかげで、快調に高度を稼ぐ。 このあと、全行程を通じてこのリズム感は変わらず、物静かで落ち着いた態度に皆の信頼は絶大であった。
 1時間半の登りで黒岳の山頂を踏む。 旭岳方面を望めば、お鉢を取り囲む山々の全貌を見渡すことができた。 ところどころに残雪となって雪が残る山々は、険しさはないものの、その雄大な姿で静かにたたずんでいる。 広さを誇る大雪山系の中心としての気品あふるる眺めである。


 黒岳から両側のキバナシャクナゲやチングルマなどなどの群落を眺めながら下ると、黒岳石室で、ここからお鉢を回るのに、右回りと左回りがあるが、我々は北海岳を経由する左回りをとる。 緩斜面を下り、小川を横切り、緩やかなのぼりを詰めると北海岳山頂である。 石室から1時間50分というところである。 お鉢の全貌が見渡せ、向こう側の北鎮岳が美しいカーブを描いている。 見返せば、黒岳が異様な姿を見せている。

  

 北海岳までの道のりで見た花々のほんの一部です。
  

 北海岳から間宮岳まではゆるやかな道のりで、ザレ場のだらだら尾根を1時間弱かけて詰めると旭岳への分岐に出る。 ここから間宮岳頂上へは目と鼻の先である。 ここからは、黒岳からとは反対の方向からお鉢を眺めることができたが、にわかに小雨が降り出したのでカッパで身を包むことにした。 旭岳は霧の中である。
 間宮岳からはしばらく穏やかではあるがザレた道を下るが、道幅も広く歩きやすい。 雨も大したことはなく、やがて旭岳が全貌を見せ始めた。 こちらから見る旭岳はおわんを伏せたような穏やかなたたずまいである。
 下りきって両サイドにお花を見ながら進むとやがて雪渓である。  雪面がザクザクしているので、用意したアイゼンの出番はなかったが、かなりの急斜面で注意を要するところである。 リーダーが慎重に足場を切ってくれたので、後ろについて登る我々はありがたいことに階段を登っているような状況であった。
 下から見ると、雪渓を登りつめた後は山頂までほんの僅かに見えたが、どうして、歩きにくいじゃりじゃりの登りが結構長くきつい。 間宮岳から2時間弱、旭岳山頂に立つ。 天気は良くないがなんとか360度の展望が楽しめた。 はるかかなたに、先ほど後にした黒岳がちょこっと頭をのぞかせている。 トムラウシがうすぼんやりと見え隠れしている。 お鉢の逆側には、ところどころに噴煙を上げている地獄谷が眼下にある。

 旭岳からのくだりはざれ場ではあるがそれほど歩きにくくはない。 振り返れば、噴火で削り取られた旭岳の山肌が荒々しく、美しいとは言えず、むしろグロテスクである。 しかし、下りきってお花畑の向こうにたたずむその姿を見るとやはり風格があって美しい。
 ロープウエイの駅に近づくと周遊路があるが、その分岐点近くで見た逆光に輝くお花畑は最高の美しさであった。

  

 満足感に浸りながら、ロープウエイで下り、すぐ近くにある天人峡温泉のお宿が今夜の憩いの場である。
 温泉、ビール、温泉で早寝する。

2008年7月7日 望岳台ー十勝岳ー上ホロカメトック山ー十勝岳温泉(泊)

 宿からのバスを降りた望岳台では、晴れていて山のかなり上のほうまでが見えるものの、十勝岳そのものは雲の中である。 風が強く帽子が飛ばされそうになるので、バンダナに切り替える。 リーダーはひそかに「この風ではやせ尾根の縦走は危険かも」と思ったそうであるが、このときはおくびにもそのことを表情には見せなかった。
 望岳台からしばらくは緩やかな傾斜の道を進む。 周りにはマルバシモツケが一面に島のように点在しているが、あとは溶岩肌の木々のない道を行く。 これからの急登を意識してか、リーダーのきざむ歩みはかなりゆっくりである。 今回のメンバーは物静かな人が多く、静かに、粛々と隊列は進む。 急斜面に差し掛かる手前で、休憩している私たちの前を、市川市から来た山の会の団体さんが追い抜いていく。 市川市出身の私ではあるが話し込む時間もなく見送る。
 ここからは、溶岩礫・石がごろごろする登りがきつくなり始めて、いよいよ急登の始まりである。 避難小屋まで望岳台から1時間15分というところか。 ここで長めのいっぽん。
 ジグザグ、ごろごろ、ずるずるとひたすら登るが、リーダーのペースは全く変わらない。 他のパーティーの動きも気にせず、あわてず、騒がず。 ここらが一番きつい所であったが、誰もが黙々と登る、登る。 やっと、すり鉢状の昭和噴火口の上に到着すると、大勢が休憩している場所をはるかに過ぎた平坦地で休憩をとる。 避難小屋から1時間30分ぐらいであった。 風が強い。
 休憩中に風が強いのと、雲行きが怪しくなってきたので、皆雨具か防寒着を付けたが、山頂ではゆっくりできない恐れありとのことで、弁当を開いて半分ほど腹に入れる。
 山頂直下の急登まで続く平坦な火口歩きが20分もあったろうか、ひとときの平和もここまで、最後のジグザグが待っていた。 ここからのリーダーぶりも圧巻であった。 安定したリズム、ノンストップ、皆がちゃんとついてきているのを確信しているような足運び。 いっきに登りつめて頂上に立つ。 望岳台から休憩も含めて4時間20分位であった。 風はそれほどのことはないが霧の中。 それでも満足感に浸りながら、もう半分の昼食をとる。 ここからの出発前に、途中で追い抜いた市川のグループが到着し、頼まれて集合写真のシャッターを4回押す。 なんと宿泊先でもこの後彼らと再会し、幾人かの人と懐かしく言葉を交わすことができた。

 頂上からは、かなり長い道のりが、痩せた馬の背状の尾根歩きである。 特に右側の所々は切り立っていて、落下すると一巻の終わりである。 風もそこそこあるので左にやや重心を置きながら歩く。 頂上から約一時間、上ホロ避難小屋につく。 目の前のガスの中に見え隠れする急斜面の上ホロカメットク山への道を眺めながら、いっぽん。
 右に荒々しい噴火口を眺めながら、急斜面を一気に登る。 一か所ほどストックが邪魔になる岩場を登るが、その斜面を彩る花々がうれしい。 山頂はガスの中。

  

 後はただひたすらの下り。 右に荒々しい山肌と、異様な形をした岩を見ながらの下りであり、途中、300段もあるという、しっかりした木製の階段で急こう配を下りたり、再び現れた花々を楽しんだりと、2時間強の長い道のりも苦にならなかった。
 上ホロ避難小屋付近から、時々姿を見せていた上ホロ荘にいよいよ到着。 長い山での一日が終わった。 きつかったけれど、それほどの疲労感はない。 満足感でいっぱいである。

 迎えのバスですぐ近くの十勝温泉の宿に着き、またまた、温泉、乾杯、温泉で疲れをいやし、翌日無事帰途に就いた。
 帰りのバスで、添乗員の今長谷さんが、「今回は恵まれたことが3つありました。 素晴らしいメンバー諸氏と、頼れるリーダーと、お天気に恵まれました」と締めくくってくれた。 本当にそうだと思う。 でも、そのとき、「もう一つ、添乗員さんにも恵まれましたよ」となぜ付け加えてあげなかったのかと悔やまれてならない。 とても明るくて、全てが分かりやすい行動指示に感心させられていたのに。 皆さん本当にありがとうございました。 またどこかでお会いしましょう。
  なお、この山行で撮った写真を素材にして、FLASHのフォトギャラリーを作成しました。 こちらのページをぜひ見てください。



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