荒川三山・赤石岳縦走記
(その2 赤石岳)

HOME
 

2015年8月6日 荒川小屋-赤石岳-赤石小屋(泊)

 今日も快晴の朝を迎える。朝焼けと赤く染まる山々を楽しんだ後、6:25、赤石岳に向けて出発である。
最初樹林帯の中の急こう配を登るが、ここを抜けると明るく長い長い大聖寺平へのトラバース路を行く。左に赤石岳を望みながらの緩勾配の登りで。これほど気持ちの良いアプローチ路はめずらしい。途中、左谷下に昔の荒川小屋の後があったが、ガイドさんの説明がなければ全く分からないほどの痕跡であった。  大聖寺平に到着(7:00)すると、素晴らしい眺望が待っていた。富士山はもとより、中央アルプス、その向こうに噴煙を上げる御嶽山、乗鞍岳、焼岳・笠に続く穂高連峰・槍ヶ岳、そしてうっすら後立山連峰。荒川三山、赤石山系も間近かに迫っている。申し分のない眺望に、これから急登が待っているのを忘れ、しばしたたずむ。

写真クリックで、その写真が拡大され順送りができます。 本ページに戻るには、右上Xボタンか写真の外をクリックして下さい。
 大聖寺平から小明石岳へはかなり急こう配の登りとなる。今日は8月6日、途中ガイドさんのリードで、広島原爆投下時間に合わせて黙とうをささげる。  急登を登り、大きくトラバースして左に巻くと、小赤石岳が間近かで、ここからは高低差の小さなアップダウンとなる。小赤石岳に到着、8:50。ここでも、360度の眺望を楽しむ。
 小赤石岳からは、赤石岳と赤石小屋への道の分岐まで降り、ここにザックをデポして、いよいよ最後の山場、赤石岳へ。身軽な上に、この山旅最後の登りとあって、心が浮き立つ。赤石岳山頂近くの登山路左右で、雷鳥親子の出迎えを受け山頂へ(9:35)。そして、山頂では、贅沢な眺望を楽しんだうえに、さらなる楽しみが重なり、長逗留となった。今まで見続けてきた山々を改めて展望し、百閒平を俯瞰し、満足した後、赤石岳避難小屋へ。
 避難小屋でメンバーのほぼ全員が、女主人の入れてくれたドリップコーヒーに舌鼓をうつ。実に澄んだ味がして、掛け値なしにおいしい。ご主人が撮影した素晴らしい星空の写真で星座解説があり、女主人の奏でるハーモニカ三曲。3000mを超える山頂で、訪れた登山者をもてなそうとする二人の様子に、深い感動を覚えた
 去りがたい思いで山頂を後にし(10:20)、今日のお宿の赤石小屋に向かう。この下りは、切り立った急斜面の細い道となっており、心もとない鉄板が指しかけられているところもあり、気が抜けない。木の根や岩につまずいたりしたらとんでもないことになる。年寄りには集中力を切らさないようにするには、あまりにも長い時間である。  しかし、お花畑や、雷鳥の歓迎もあり、楽しい場面も多くあった。途中で昼食をとり、激しい雷雨が落ち始める寸前の赤石小屋に到着したのが、13:30であった。  今日の赤石小屋は超満員。外は雨の後も雲に包まれた状態であるし、最後の宿泊地ということで、メンバーがビール片手に楽しく語り合う場となった。

2015年8月7日 赤石小屋-椹島ロッジ-広島

 再び快晴の朝を迎え、小屋前からの朝焼けを楽しんだあと、最後の下りを椹島ロッジへと向かう。ここも急峻な下り路で、気の抜けないところも多いが、休憩のときに、福沢ガイドの話してくれた、「東海パルプの前身、東海紙業の創業者で大倉財閥の大倉喜八郎が、88歳の時に「自分の所有地の一番高いところに登りたい」と、約200人の人足を引き連れ、駕籠に担がれて、大名登山のごとく赤石岳に登頂した逸話」、や、「皇太子殿下が我々と同じコースを制覇したときのエピソード」を驚きとともに聞き、楽しむことができた。  無事、椹島ロッジに着き、シャワーでサッパリした後、白樺壮で昼食を取り、一路広島に帰還した。
 久しぶりにツアーに参加して、この山旅を終えた。ハードな山旅を皆に迷惑をかけずに終えた満足感と、そうは言っても、一杯いっぱいだったなという思いもあり、今は複雑な心境である。しかし、この山旅がメンバーと天気に恵まれて、ものすごく楽しいもになったのは間違いない。メンバーの皆さん、あなたたちは心身ともに強かった。そして、福沢さん、ガイドとしてただ登りをリードするだけでなく、話術でも楽しませてくれた名ガイドでした。添乗員の吉原さん、安定感のある行動で、みんなを支えてくれました。皆さんに感謝して、本稿を終えることにします。

<前編:その1> 山行記: 「悪沢岳・中岳・前岳」についてはこちらを御覧ください。

ウインドウズ デスクトップの壁紙(テーマ、Windows Desktop Theme) 用写真は こちらから ダウンロードできます。

このページの写真を含めて、山々の写真をアルバムにしています。 こちらをどうぞ

  山の道具のお買い物には 「山屋」 をよろしく。                       HOME